人に頼みごとをしたり交渉するときに有効なスキルとして、
「ランチョン・テクニック」がある。
心理学者グレゴリー・ラズランが提唱した心理テクニックで、
「人は、食事中にかかわりのあった人や物を好きになる」
というものである。
実験では、
「普通の場面」で提案をしたときと「食事をしながら」では、
「食事をしながら」のほうがはるかに提案を受け入れてもらえる、
という結果になったという。
人は、おいしい食事を食べると、本能的に達成感を得る。
そして、心地よい精神状態になり、
いろいろな考えを受け入れやすくなる。
その食事がおいしくて満足できれば、
相手の話に好意を持つことにもつながる。
さらに、あとで、おいしい食事をしていたときの場面を思い返すと、
心地よい体験がよみがえる。
そのときの話題や話し相手に対する好意度が高まるのである。
つまり、ランチ前のプレゼン提案よりも、
ランチ後の提案のほうが通る可能性が高いということである。
政治家が、高級料亭で交渉をおこなうのも、
ランチョン・テクニックを利用している。
おいしい食事や楽しい時間が、話の内容にポジティブに結びつくのである。
相手に対して、提案や依頼をするときには、ぜひ活用してみよう。