部下を叱ることを怖がる上司が増えている。
最近は、上司に怒られたというだけで、何年も勤めた会社をあっさり辞めてしまう若者がいる。
上司の部下に嫌われたくない、恨まれたくないという気持ちもわかる。
それでも上司は、部下を叱らなければならないときがある。
「何でそんなことをしたんだ! 言い訳するな!」
「ちょっと考えれば、それくらいわかるだろ!」
と部下を怒鳴り飛ばすだけの上司は最悪である。
まず、叱る環境作りが大切だ。
叱る環境づくりとは、相手の心にスッと入っていける状態を作っておくことである。
そのためには、常に相手を観察する力が不可欠である。
普段から相手の顔色を読む技術を磨くことだ。
相手の顔を見て、血色が良ければ、
「今日は顔色がいいな。何かいいことがあったのかい」
と明るく声をかけてやる。
浮かない顔をしていれば、
「顔色がさえないな。どうした?」
と気遣ってやる。
上司が、部下の顔をしっかり見つめて話を聞くことで、「叱る環境」を作ることができる。
これがなければ、失敗に対する注意や戒めは受け入れられない。
上司の側にその心構えができていてこそ、初めて部下を叱ることが効果を示すのである。
常日頃からの部下への愛情と観察が、明日の成長につながる最高の処方箋である。