仕事に追われていると、
目の前の課題に対して、「どうさばくか」だけを考えてしまう。
そうなってしまうと、
「考える力」が衰え、新たな価値を生み出せなくなる。
「考え抜く力」 を養うためには、
目の前の仕事に対して、
どんな意味があるのか…
何のためにやるのか…
どんな価値を生むのか…
を問い直す習慣をつける必要がある。
いろいろなことを考えているつもりでも、
「考える」ということの深さと幅は、
意外と、浅く低いレベルにとどまっているのではないだろうか。
たとえば、
少し考えて、何らかの答えが見つかると、
そこで考えることを止めてしまう…
世間の常識や過去の成功体験を鵜呑みにしてしまい、
新しい発想が妨げられる…
セブン&アイホールディングス名誉顧問の鈴木敏文氏は、
「我々の競争相手は同業他社でなく、めまぐるしく変化する顧客ニーズである」
という。
「セブンイレブン」の強さは、
優秀なバイヤーたちの「目利き力」にあると言われる。
同社のバイヤーは、
店舗の立地状況や地域特性、天候、季節ごとのイベントなどを考慮しながら、
どんな商品をいつ、どれだけ仕入れたらいいか、
仮説を立て、実行・検証するというプロセスの繰り返すなかで、
毎日、考え抜かざるを得ない状況に追い込まれるという。
たとえば、
冬の終わりごろ、少し温かくなる日がある…
冬の間食べていなかった冷やし中華やアイスクリームを、
急に食べたくなる人たちがいるのではないか…
と仮説を立て、それに合わせて品揃えを充実させておく。
日々、「考え抜く」という実践から、変化への対応力が養われ、
一人前のバイヤーとして成長していくという。
目の前の仕事をさばいていれば、当面は問題がない。
でも、新しい価値を生み出すためには、
直面する仕事の「意味」「目的」「価値」を、しっかり考え、
課題を本質まで掘り下げて考える力を、鍛えておく必要がある。
そうすることではじめて、イノベーションを起こせる力がつくのである。