最近アメリカの産業界では、できる上司が陥りがちな行動を「ディレールメント」(derailment)と呼び、警告を発している。
「ディレールメント」(derailment)とは、「レールをはずれること」から、キャリアを脱落することを意味する。
幹部候補として期待される優秀な人が、ひとりで空回りをして、自爆してしまうことである。
脱線した人は、「ディレーラー」(derailer)と呼ばれる。
自分の能力に自信のある上司ほど、メンバーを軽視する傾向があり、「自分が何とかしなければ」と焦る。
意のままにならないと腹をたてて、部下に当たり散らしてしまう。
ディレーラーは、自分本位、部下不信、過剰攻撃、責任転嫁などの行動で、メンバーと衝突する。
最終的には、チームが機能不全に陥ることになってしまうのである。
以下のセルフチェックをしてみてほしい。
①自分は非常に仕事ができる人間である
②メンバーに仕事を任せるより自分でやったほうが早いし楽だ
③問題に遭遇しても、自分以上に正しい答えを出せるメンバーはいない
④自分とは異なる意見を人に言われると腹が立つ
⑤いつも自分が思う通りのやり方をメンバーに強制している
⑥任せた仕事を任せきれずに、メンバーに干渉してしまう
⑦職務規定に触れても、少しくらいであれば、自分は許される
⑧自分の仕事の大変さを周囲はもっと評価すべきだ
⑨小さなことでもすぐ腹を立てて、メンバーをどなる
⑩メンバーの失敗やミスを思い出してイライラする
10項目のうち6項目以上に該当するなら、注意したほうが良い。
大切なことは、上司の役割について、今一度しっかり自覚することである。
リーダーとしての上司にとって大切なのは、自分で何でもこなすことではない。
メンバーのモチベーションと能力を引き上げて、チーム全体の総合力を高く維持することが、重要である。
自分が切れ者であると思っている人ほど、この自覚を忘れないようにしたい。