ロバート・K・グリンリーフにより提唱された「サーバント・リーダーシップ」とは、
リーダーがメンバーに対して明確なミッションやビジョンを示し、
それを遂行するメンバーに奉仕(サーバント)するものである。
リーダーは、自分のミッション、ビジョンを実現させるための道具としてメンバーがいる、
と考えるのではない。
ミッション、ビジョンを実現するためにメンバーが行動してくれるのである。
リーダーは「こうしたい」という強い方向性を示す必要がある。
それに取り組むメンバーがより活躍しやすいように、
環境を整え、支えるのがサーバント・リーダーなのである。
サーバント・リーダーの特性は、10項目にまとめられる。
(1)傾聴
しっかり話を聞いて、相手が望むことを聞き出し、どうすれば役に立てるか考える。
自分の心の声に対しても耳を傾ける。
(2)共感
人は不完全であるという前提に立ち、相手の立場に立って相手の気持ちを受け入れる。
(3)癒やし
相手の心を無傷の状態にして、本来の力を取り戻させる。
組織や集団においても、欠けている力を補い合えるようにする。
(4)気付き
ものごとをありのままに見ることで気付きを得たり、相手に気付きを与える。
(5)納得
相手のコンセンサスを得ながら納得を促し、権限に頼らず、服従を強要しない。
(6)概念化
大きな夢やビジョナリーなコンセプトを持ち、それを相手に伝える。
(7)先見力
現在の出来事を過去と照らし合わせ、そこから将来の出来事を予想する。
(8)執事役
自分が利益を得ることよりも、相手に利益を与えることを心得ている。
(9)人々の成長への関与
仲間の成長を促すことにコミットする。一人ひとりの力や価値に気付く。
(10)コミュニティづくり
愛情と癒やしに満ちていて、人々が大きく成長できるコミュニティをつくり出す。
この10の特徴のなかでも、特に重要なのが「傾聴」である。
変化の激しい環境では、リーダーが自分の経験に基づいて決断しても、状況変化により、
「こんなはずではなかった」という事態が頻繁に起こる。
メンバーの話を真摯に聞かないと、変化に気付くのが遅れ、打ち出す方向性にズレが生じやすくなる。
メンバーの声を聴くリーダーは、変化を素早く察知することができる。
方向性を間違えるリスクが少なくなるのだ。