深く考える習慣を身に付ければ、問題解決能力を高めることにつながる。
「なぜ?を5回繰り返す」という言葉をご存知だろうか。
トヨタ生産システムの生みの親である大野耐一氏の名言である。
問題の表面だけを見るのではなく、なぜ問題が起きているのかを粘り強く、
深く考える、という意味である。
問題を解決するためには、必須の考え方である。
しかし問題から「なぜ」のアプローチには注意が必要である。
まず、陥りがちなのは、たまたま目についた問題に飛びついてしまうことある。
「なぜわが社の退職率が高いのか?」
という問題を調査する際、最初にインタビューを受けた社員が、
「上司との関係に問題がある」と答えたとする。
そうすると、その後の調査でも「上司」に関わる問題にフォーカスしがちになる。
その方向が間違っていても気づくことができない。
もう一つの陥りがちな状況は、問題があまりにたくさん出てきて、
整理がつかなくなることである。
たとえば「なぜ退職率が高いのか?」について調べるために、社員にヒヤリング調査をした場合。
よほど明らかな問題がある場合以外は、千差万別な状況が出てくるだろう。
問題が多すぎて、網羅性をチェックできず、整理がつかない状況に陥る可能性がある。
これを解決するためには、どうするか?
「なぜ」の前に「どこが問題か」を明確にすることである。
「どこが問題か」のアプローチは2つのステップで考える。
1.問題を多面的な切り口でたくさん考える
何が…
誰が…
どこで…
いつ…
「なぜ退職率が高いのか?」という問題を考える場合、
どんな職種でやめる人が多いのか?
どんな年代・性別の人がやめるのか?
どの地域でやめる人が多いのか?
いつやめる人が多いのか?
を考える。
2.全体像の把握
問題があるところと無いところの区分け。
「なぜ」の前に「どこが問題か」を徹底的に絞り込もう。
問題箇所を絞り込んだあとは、「なぜ」を5回繰り返せばいい。
この感覚をぜひ身に付けたい。
そうすれば、論理的思考力を高め、問題解決能力をさらに磨くことができるはずだ。