ビジネスでのスピードは、ますます重要性を増している。
期限がある仕事において、
閉め切りを守れなければ、何もしないのと同じである。
でも、締め切りさえ守れば質はどうでもいい、
というわけでもない。
職場には、さまざまな人がおり、
自分にとっての快適なリズムは、人それぞれ違う。
仕事は丁寧だがいつも期限に間に合わない人…
仕事は速いがミスが多い人…
これらを黙認することは、組織全体によくない影響を与えてしまう。
質さえ高ければ、遅れてもいい…
スピードさえ速ければ、雑でもいい…
というメッセージを暗に送っているのと同じである。
管理職は、「ここまではOK、これ以上はNG」という規準を
はっきり示す必要がある。
「速い・遅い」「丁寧・雑」という評価軸を立てて、
4象限のマトリックスで表すと、
この職場で許容範囲とされる領域がわかりやすくなる。
でも、多くの職場では、この規準が明確に示されていない。
この状況を改善するには、
管理者が望ましい速さや丁寧さの規準を定めて、
それをメンバーに繰り返し周知徹底することが必要である。
質を重視する職場であれば、
少しくらい期日に遅れてもなんとかなる、
その代わり、他社に負けない素晴らしいものをつくろう、
スピードが命の部署なら、
このレベルを超えた時点で提出しよう、
というように、わかりやすい規準を示すことが大切である。
スピードと質の関係は、
どちらか一方を取ったら、もう一方を捨てなければいけない、
というものではない。
いちばん理想的なのは、
質を保ちながら、スピードは「ちょっと速め」である。
職種や環境により、求められる仕事の速さや質は異なる。
管理職は、常に最適な速さと質のバランスを見極め、
その上で、部下に仕事を任せて、結果を評価することが大切である。