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上司が「評価基準」を明確に示す


ビジネスでのスピードは、ますます重要性を増している。

期限がある仕事において、
閉め切りを守れなければ、何もしないのと同じである。

でも、締め切りさえ守れば質はどうでもいい、
というわけでもない。

職場には、さまざまな人がおり、
自分にとっての快適なリズムは、人それぞれ違う。

仕事は丁寧だがいつも期限に間に合わない人…
仕事は速いがミスが多い人…

これらを黙認することは、組織全体によくない影響を与えてしまう。

質さえ高ければ、遅れてもいい…
スピードさえ速ければ、雑でもいい…

というメッセージを暗に送っているのと同じである。

管理職は、「ここまではOK、これ以上はNG」という規準を
はっきり示す必要がある。

「速い・遅い」「丁寧・雑」という評価軸を立てて、
4象限のマトリックスで表すと、
この職場で許容範囲とされる領域がわかりやすくなる。

でも、多くの職場では、この規準が明確に示されていない。

この状況を改善するには、
管理者が望ましい速さや丁寧さの規準を定めて、
それをメンバーに繰り返し周知徹底することが必要である。

質を重視する職場であれば、
少しくらい期日に遅れてもなんとかなる、
その代わり、他社に負けない素晴らしいものをつくろう、

スピードが命の部署なら、
このレベルを超えた時点で提出しよう、

というように、わかりやすい規準を示すことが大切である。

スピードと質の関係は、
どちらか一方を取ったら、もう一方を捨てなければいけない、
というものではない。

いちばん理想的なのは、
質を保ちながら、スピードは「ちょっと速め」である。

職種や環境により、求められる仕事の速さや質は異なる。

管理職は、常に最適な速さと質のバランスを見極め、
その上で、部下に仕事を任せて、結果を評価することが大切である。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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