プロセスマネジメントとは、「工程を管理する」ことである。
世界トップクラスの高い生産性を誇る日本の製造業の成長の源泉は、
「徹底した工程管理」である。
しかし、営業部門などのホワイトカラーの生産性は、世界の水準と比べても、
日本はかなり低いと言われている。
例えば、営業部門は、個人の勘や経験が重要視され、
これらに秀でた営業マンが優秀であり、成果を挙げるとされてきた。
しかし、人材のみに頼る営業は、やがて行き詰まる。
継続的、安定的に発展するには、業務プロセスを可能なかぎり「標準化」し、
それを「計測」し、「カイゼン」していく組織体制をつくることが重要である。
パン工場でパンを作る場合は、どうだろうか。
パンを焼くためには、「水」「小麦粉」「イースト菌」という素材が必要である。
素材がパンになるためには、必ず4つのプロセスが必要である。
配合する→こねる→発酵させる→焼く
このプロセスを正しく守ることで、美味しいパンを作ることができる。
順番を変えたり、一つでもプロセスを省略してしまったら、決して美味しいパンはできない。
また各プロセスには、必ず決まったルールが存在する。
配合・こねる :素材の配合比率
発酵 :発酵させる時間
焼く :焼くときの温度
各プロセスごとに定められたルールを忠実に守るからこそ、美味しいパンを
大量に作ることができるのである。
パン工場の工場長は、
「頑張れ!」
「もっと気合を入れろ!」
「愛情を込めて焼け!」
などと檄を飛ばすことはない。
マネージャーである工場長は、定められたプロセスが忠実に守られているかをチェックし、
さらに美味しいパンが焼けるようにプロセスを改善していくのだ。
これがプロセスマネジメントである。
営業現場においても、必ず一定のプロセスが存在する。
引き合い→面談→提案→見積→稟議→受注。
ところが、実際の営業現場では、受注実績や予算達成度だけを見て、
叱咤激励するマネジメントがまかり通っている。
営業現場にこそプロセスマネジメントが必要なのだ。
受注という結果に至るまでには、必ず通るプロセスがある。
プロセスの延長線上に、受注という結果がある。
ある営業部門では、引き合いの数と受注成功率の数字を管理している。
このデータだけを管理して、マネージャーは具体的な指示を出すことができるだろうか。
「頑張れ!」
「気合を入れろ!」
「足で稼げ!」
というような精神論で、部下達を奮い立たせようとするのが関の山だ。
営業プロセスと進捗を正しく把握して改善することが必要である。
「引き合い」「面談」「提案」見積」「稟議」「受注」のプロセスを正しく把握し、
各プロセス毎に定量的な管理指標を設けるのだ。
営業活動を各プロセス別に「見える化」し、「測る化」されることにより、
「カイゼン」することが可能になるのである。