個人にとって、「時間管理」はもちろん大切だ。
組織にとっては、生産性向上のための重要なファクターである。
ホワイトカラーの生産性は、一般的にまだ多くのムダがあるといわれている。
時間に対する感覚は、個人以上に組織のほうがルーズであり、
それが莫大な損失につながっている。
例えば、会議を考えてみよう。
ほとんどの会議において、参加人数が7人を超えると、
1人増えるごとに生産性が10%下がるといわれている。
17人いれば、生産性「ゼロ」ということだ。
単に情報共有の会議ならばいいかもしれないが、
意思決定の場では、非効率である。
また、あるベンチャー企業で、組織の規模が急拡大したため、
これまで週1回行っていたマネジメント会議を月に1回とし、
土曜日にまとめて4時間行うことにした。
参加メンバーは20人以上となり、ひとりの持ち時間は10分程度。
そのうち4時間では足りなくなり、5時間、6時間と会議時間が増えていった。
さらに、意思決定のスピードが週1回から月1回のペースに落ちた。
決定されない案件が、次の会議まで保留されるようになった。
決めるべき案件が1ヶ月も先送りされるようになってしまったのだ。
そこで、会議のペースを週1回に戻し、参加人数も6人に絞り込んだ。
議題も「何を決めるか」ではなく、「次にすべきこと」という未来志向に変えた。
長期的な方針討議の会議は別に設けるようにした。
その結果、ようやく組織のスピードは元に戻ったという。
カネのムダ遣いには目を光らせるのに、時間のムダ使いには無頓着な組織が多い。
参加者が全員揃わないために、会議の開始時間がいつも遅れるようなことがないだろうか。
1時間の会議で、始まりが5分遅れれば、生産性は8%下がることになる。
もし工場の生産性が8%下がったり、コスト削減が8%滞ったりするととどうだろうか。
会社としての一大事となるはずだ。
にもかかわらず、時間については、大きなロスが平気で許容されている。
組織としての大きな無駄が、個々人の時間も奪ってしまう。
それが顧客対応時間の減少を招き、業績低下につながっているとしたら、
あまりにもったいない話である。