「ボスマネジメント」とは、部下が仕事の目的を達成するために上司を動かす、という考え方である。
自分が仕事を進めやすいように、
上司をうまくコントロールする…
上司から積極的なサポートをもらう…
そのためのコミュニケーションや働きかけが「ボスマネジメント」。
ビジネスパーソンの仕事上の悩みの中で、
最も多いのが、「職場の人間関係」。
その中でも、最も悩ましいのが「上司と部下との関係」である。
上司が自分の仕事を正当に評価してくれない…
うちの上司は傲慢(ごうまん)で、自分の意見に耳を貸そうとしない…
自分だけ忙しいのに上司は何もサポートしてくれない…
そのようなストレスを抱えていては、仕事も回らず成果も上がらない。
部下側から、進んで上司に働きかけ、
上下関係をマネジメントするのが、「ボスマネジメント」の考え方である。
上司との関係に問題を抱えている人は、
上司を自分の仕事の「邪魔者」「障害」と考えがち。
でも、自分がいくら優秀であり、熱心であっても、
組織の中で、上司抜きでやり遂げられることはそう多くない。
自分にはできないけれど、上司ならできることがたくさんある。
上司とは、
やりたいことを実現するための相談相手…
部下の仕事の成果や能力を評価する評価者…
トラブルの処理役、謝罪役…
GOサインを出してくれる承認者…
ノウハウを教えてくれる師匠…
できない仕事をサポートしてくれるパートナー…
新たなネットワークを紹介してくれる人…
などの役割を持つ人である。
上司との信頼関係を築いて、こうした機能をうまく活用したい。
「ボスマネジメント」で最も大切なのは、
受け身ではなく、部下側から能動的に働き掛けることである。
上司を変えるのではない。
上司のタイプや好みを知り、
それに合わせて、部下がアプローチを変えていくのである。
誰でも、嫌いな上司や苦手な上司は避けたいと思うはず。
でも部下は上司を選べない。
避けてばかりいると、その感情が相手(上司)にも伝わり、
よけいに関係が悪くなってしまう。
好き嫌いの個人的な感情は、まず脇に置いて、
上司をいかに戦略的に活用するかを考える。
ボスマネジメントの視点は、
個人として組織として、仕事の成果を最大化するために、
極めて重要な考え方である。