「T字型人間」という言葉がある。
これは、幅広い知識や経験を持つゼネラリストであると同時に、
何か1つ専門分野を持っている人のことである。
「T」の横軸は、多様な分野に幅広い知見を持つこと。
組織運営に必要なマネジメント、リーダーシップ、組織理論および
財務・会計、法律、人事などの知識を広くカバーしておく。
「T」の縦軸は、特定分野に深い専門性やスキルを持つことである。
自分の専門分野の知識やスキルは、「T」の縦軸のように深く掘り下げる。
これについてなら何でも知っているというところまで極めるということだ。
1つのことを深く理解することで、真実を見極める目、物事の深さを測る勘も身につく。
横軸は、ベースとなる知識であり、長く伸ばすことは大切だ。
管理職の多くはマネジメントに必要な知識を体系立てて学ぶ機会が少ない。
カンと経験でマネージしていることが意外と多い。
カンと経験だけでは、一度うまくいっても、なぜうまくいったかが分からない。
次に同じようなことが起きても、またうまくいくとは限らない。
マネジメントやリーダーシップ、組織などについての理論を知っていれば、
うまくいった理由を、理論で裏打ちすることができる。
次もうまくいく確率が高まる。
財務・会計の知識は、現状を分析して業績を改善するときに役立つ。
法律、人事の知識があれば、業務上の判断をする時に、間違った決定をしなくて済む。
知識や情報は、自分で勉強するしかない。
情報化が進んだ現代では、情報収集の手段はいくらでもある。
情報に接することを面倒がらずに習慣にしていこう。
これからの時代は、自分の分野だけに閉じこもるのではなく、
得意な領域で様々な人と接点を持ち、協働してビジネスを行う必要がある。
日常の仕事だけに埋没してしまうと、視野がどんどん狭くなる。
そうならないために、幅広い情報収集を行いつつ、異質な人、異業種の人、
違う機能を持った人と積極的に接点を持とう。
人脈は努力をしないと広がらない。
人脈づくりは地道な努力の積み重ねである。
積極的に様々な世界の人たちと交わる姿勢が大切である。
横軸と縦軸は、どちらか一方だけ伸ばせばいいというものではない。
横軸を伸ばしても、縦軸が短ければ効果は見込めない。
T字の長い縦軸がその人の個性となり、その魅力で人が集まるのだ。
縦棒と横棒をバランスよく伸ばして、「T」の字を大きくしていくことを考えよう。