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論理思考からイノベーションへ

一見関係なさそうな「イノベーション」と「論理思考」には、
密接な関係がある。

「論理思考」を鍛えると、革新的なビジネスを考える上で妨げになるのではないか、
という話を聞くことがあるが、どうだろうか。

論理思考には、2つのキーワードがある。

1つ目は、「常にイシューに立ち戻る」ことである

イシューとは、今、自分が考えたり、論じるべきこと。

私たちは、往々にして、そもそもの目的や考えるべきことを忘れ、
議論に熱中してしまう。

また、意思決定をするとき、様々な人間関係や部署間の利害関係に影響され、
当初の目的を果たせないことがある。

そうならないように、頭の中で、イシューを絶えず押さえておくことが重要になる。

「イノベーター」と言われる人は、細部のことにはあまりこだわらない。
本質的なポイントを意識し、それを議論の中心に持ってくる。

ビジネスの現場では、

プロジェクトが予定通りに進まなかったり、
お客様からのクレームを受けたり、
魅力的な提案が飛び込んできたりと、

いろいろな細かい事象に心を奪われがちである。

それらに対して、振り回されるのではなく、
そもそも私たちのビジネスの目的は何だったのか、
を常に意識しなければならない。

「常にイシューに立ち戻る」ことは、論理思考の最重要事項であると共に、
イノベーターの日常行動の基軸でもある。

2つ目は、「当たり前を疑う」ことである

私たちは、目の前にある「前提」を当然のものとして、論理を組み立てがちである。

「前提」自体が正しいのかどうか、絶えず疑ってみるべきだ。

これも、イノベーターに共通する思考特性の1つである。
イノベータは、誰もが疑わないような前提にメスを入れる。

例えば、

役所からこういうことをやれと言われている、との報告を受けたとき、

「誰が言っているのか?」
「こちらの主張を伝えて交渉したか?」

と深く突っ込んでいき、最終的には、

「この点について、1項目ずつ交渉しなさい」

と具体的に指示を出す。

今ある前提を疑っていくことで、新たな方法が生まれてきたり、
これまでとは全く異なる景色が見えて、イノベーションに繋がっていくのだ。

組織に、新しい血を入れた方がよいといわれるのは、
組織の前提を疑う人と接触しやすい環境を意識的に作ることで、
イノベーションに繋がりやすいからである。

このように、「論理思考」により、「イノベーション」につながる。

「論理思考」を鍛えることは、「革新的なビジネスを考える」上での、
重要なキーファクターなのだ。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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