「ビッグワード(Big Word)」ばかり使っていると、様々なリスクが生じる。
ビッグワードとは、
抽象的で、いろいろな解釈を生んでしまうような言葉、
と定義されている。
例えば、ミーティングで、部長が、
「わが社の付加価値を上げるため、誠心誠意努力しよう」
「お客様に、差別化を訴求して、もう少し頑張ろう」
と話す。
部長が言ったことを、しっかり聞いているように見えるメンバーに、
「具体的には、どう動けばいいのだろう」
と訊ねてみると、十人十色の意見が出てくる。
「付加価値を上げる」って何をすること?
「誠心誠意努力する」とは具体的にどうすること?
「もう少し頑張ろう」とはどこまで何をすること?
こういう状態になってしまうのは、部長が使っている言葉が「ビッグワード」だからである。
例えば、
「付加価値を上げる」
という言葉は、極めて抽象度が高い。
いろいろな解釈が可能な言葉である。
このような抽象度が高い言葉を使うときは、
聞いている相手の認識が揃っているのかに注意しなくてはならない。
もしどうしても使いたいのなら、
別の言葉で言い換えたり、
具体例を添えて話す必要がある。
ビッグワードばかりが横行すると、誤解や勘違いの連鎖が起きる。
会社内でビッグワードの危険性が認識されていないと、
誤解や勘違いがますます拡大し、
大きな間違いに繋がる可能性が高くなる。
「早めに対処しておけ」といわれた場合、
「早めに」とは、一体どのくらいの時間を指すのか、
についても、解釈がぶれる可能性は高い。
「検討する」、「対処する」といった言葉も危険だ。
シナジーを意識して早めに対処しておけ」
などと言われたら、もう目も当てられない。
あなたが、上司の立場として、ビッグワードを語ると、
部下はその言葉の意味することが理解できない。
言葉の解釈に無駄な時間を費やしてしまう。
曖昧な情報がさらに下の階層まで伝わって、
誤解が増幅されることになる。
上司の不用意な指示が、現場の生産性を落とすことにつながるのだ。
上の立場であるほど、言葉の重要さを認識する必要がある。
メンバーに話す前には、自分が言いたいことの意味を認識し、
ビッグワードを使わざるを得ないときは、十分な配慮が必要である。