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帰納法的アプローチを鍛える

私たちは、論理を組み立てるとき、
無意識に、演繹法と帰納法という2つのアプローチを使っている。

帰納法とは、
A、B、Cという3つの事象が起きたとき、これら3つに共通のルールを考えること、
である。

例えば、
AさんとBさんとCさんが、部長になった。
3人はいずれも、海外勤務を経験している。

すると、
「我が社で出世するためには、海外勤務が必要である」
という仮説が成り立つ。

これが帰納法的な考え方である。

演繹法は、あるルールに対して、ある事象を照らし合わせたとき、
何が言えるかを考えることである。

例えば、帰納法的な考え方で導き出された、
「我が社で出世するためには海外勤務が必要である」
というルールに対して、

「私は海外勤務を経験していない」
という事象をあてはめると、

「私は出世しない」
という結論に達する。

演繹法では、ルールにある事象をあてはめることで、結論が導き出される。

帰納法を使うときに、注意しなければならないことは、

知識、経験や事象のサンプルをある程度持っていないと、
結論はおろか、考えることすらできない、

という点である。

例えば、
営業をほとんど経験したことがない人に、
「結果の出る営業活動のポイント」を聞いても、

答えることができないか、
限られたサンプルの範囲で答える、

ことになってしまう。

ベースとなる知識やルールをどれほど学んでいるかが重要となるのだ。

また、帰納法によって導き出される結論は、具体的でなければならない。

先ほどの例でいえば、
「要するに、結果の出る営業活動とは、どれだけやる気を出すかだ」
と言われても、抽象的すぎてよくわからない。

具体的に表現する力も必要になる。

ビジネスは刻々と変化している。
過去の事象から導き出されたルールが、すべての場合に適応できるわけではない。

新しいチャレンジをする場合、
今、目の前で起きている事象から新しいルールを生み出す帰納法的考え方を、
鍛える必要がある。

帰納的思考を意識して反復し、素早い意思決定ができるように、
日々トレーニングすることが大切だ。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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