私たちは、論理を組み立てるとき、
無意識に、演繹法と帰納法という2つのアプローチを使っている。
帰納法とは、
A、B、Cという3つの事象が起きたとき、これら3つに共通のルールを考えること、
である。
例えば、
AさんとBさんとCさんが、部長になった。
3人はいずれも、海外勤務を経験している。
すると、
「我が社で出世するためには、海外勤務が必要である」
という仮説が成り立つ。
これが帰納法的な考え方である。
演繹法は、あるルールに対して、ある事象を照らし合わせたとき、
何が言えるかを考えることである。
例えば、帰納法的な考え方で導き出された、
「我が社で出世するためには海外勤務が必要である」
というルールに対して、
「私は海外勤務を経験していない」
という事象をあてはめると、
「私は出世しない」
という結論に達する。
演繹法では、ルールにある事象をあてはめることで、結論が導き出される。
帰納法を使うときに、注意しなければならないことは、
知識、経験や事象のサンプルをある程度持っていないと、
結論はおろか、考えることすらできない、
という点である。
例えば、
営業をほとんど経験したことがない人に、
「結果の出る営業活動のポイント」を聞いても、
答えることができないか、
限られたサンプルの範囲で答える、
ことになってしまう。
ベースとなる知識やルールをどれほど学んでいるかが重要となるのだ。
また、帰納法によって導き出される結論は、具体的でなければならない。
先ほどの例でいえば、
「要するに、結果の出る営業活動とは、どれだけやる気を出すかだ」
と言われても、抽象的すぎてよくわからない。
具体的に表現する力も必要になる。
ビジネスは刻々と変化している。
過去の事象から導き出されたルールが、すべての場合に適応できるわけではない。
新しいチャレンジをする場合、
今、目の前で起きている事象から新しいルールを生み出す帰納法的考え方を、
鍛える必要がある。
帰納的思考を意識して反復し、素早い意思決定ができるように、
日々トレーニングすることが大切だ。