コミュニケーションがうまい人とは、どういう人だろうか。
ある一面では、「具体と抽象の往復」がうまい人、といえる。
コミュニケーションでのクセには、2つのパターンがある。
1つ目は、具体的なことばかり話してしまうクセ。
たとえば部下を指導するときに、
「これがダメで、これもダメ、それはダメ」
と、具体的な事象を細かく指摘してしまう。
正しいことを言っていても、項目が多いと、聞き手の頭に入りづらくなる。
報告をする際にも、細かい具体的な事象をひたすら述べていく人がいる。
具体的に話すということ自体は良いのだが、
「要するに何を言いたいのか」という結論が、聞き手の頭に残りにくい。
「要するに何だ」という部分が、「抽象化」スキル。
それが欠けている。
2つ目は、抽象的なことばかりを話してしまうクセ。
「お前は気配りのできないヤツだ」と上司が部下に話す。
でも、具体的な理由がないと、どういうことなのか伝わらない。
自分の癖を客観的に意識してみよう。
その上で、具体と抽象のバランスを意識することが必要である。
具体論ばかり述べてしまう傾向があれば、
「つまり」、「要するに」というキーワードを常に頭の中に置いておく。
このキーワードを自分に問いかけることで、頭を抽象化へ持っていくのだ。
抽象論しか出てこないのであれば、
「例えば」というキーワードを口癖にすればよい。
そうすれば、自分の思考を具体的に導くことができる。
自分のクセを意識したうえで、キーワードをうまく使ってみよう。
さらに、具体と抽象のバランスを鍛えるためには、
「ピラミッドストラクチャー」が有効である。
ピラミッドストラクチャーとは、主張とその根拠の構造のことである。
通常は主張を頂点として根拠がピラミッド状に配置される。
最上段に、抽象的に自分が言いたいこと(主張)を配置する。
それを支える具体的な事象を、その下に視覚化して書き入れていく。
自分が言いたいことのストラクチャーを常に考える。
そのときのシチュエーション、話す相手によって、キーワードをうまく使い、
具体と抽象を往復しながら、強いメッセージを作ってみよう。