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具体と抽象のバランスを意識する

コミュニケーションがうまい人とは、どういう人だろうか。
ある一面では、「具体と抽象の往復」がうまい人、といえる。

コミュニケーションでのクセには、2つのパターンがある。

1つ目は、具体的なことばかり話してしまうクセ。

たとえば部下を指導するときに、
「これがダメで、これもダメ、それはダメ」
と、具体的な事象を細かく指摘してしまう。

正しいことを言っていても、項目が多いと、聞き手の頭に入りづらくなる。
報告をする際にも、細かい具体的な事象をひたすら述べていく人がいる。

具体的に話すということ自体は良いのだが、
「要するに何を言いたいのか」という結論が、聞き手の頭に残りにくい。

「要するに何だ」という部分が、「抽象化」スキル。
それが欠けている。

2つ目は、抽象的なことばかりを話してしまうクセ。

「お前は気配りのできないヤツだ」と上司が部下に話す。

でも、具体的な理由がないと、どういうことなのか伝わらない。

自分の癖を客観的に意識してみよう。

その上で、具体と抽象のバランスを意識することが必要である。

具体論ばかり述べてしまう傾向があれば、
「つまり」、「要するに」というキーワードを常に頭の中に置いておく。

このキーワードを自分に問いかけることで、頭を抽象化へ持っていくのだ。

抽象論しか出てこないのであれば、
「例えば」というキーワードを口癖にすればよい。

そうすれば、自分の思考を具体的に導くことができる。

自分のクセを意識したうえで、キーワードをうまく使ってみよう。

さらに、具体と抽象のバランスを鍛えるためには、
「ピラミッドストラクチャー」が有効である。

ピラミッドストラクチャーとは、主張とその根拠の構造のことである。
通常は主張を頂点として根拠がピラミッド状に配置される。 

最上段に、抽象的に自分が言いたいこと(主張)を配置する。
それを支える具体的な事象を、その下に視覚化して書き入れていく。

自分が言いたいことのストラクチャーを常に考える。

そのときのシチュエーション、話す相手によって、キーワードをうまく使い、
具体と抽象を往復しながら、強いメッセージを作ってみよう。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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