動物は 「ごほうび」なしに何かを習得することはほぼありえない。
人間の脳の動物と基本は同じ。
報酬をもらえば脳の「報酬系」が活性化する。
やる気を起こさせる脳内物質であるドーパミンが分泌される。
報酬がもらえるだろうという期待を抱いたときも同じ現象が起こるという。
でも、人の脳の報酬系は動物と異なり、複雑かつ高度化されている。
したがって、喜びを感じる報酬の種類も多様化する。
金銭的な報酬もあれば、
高い評価を得た、達成感を感じた、社会に貢献した…
などの目標を達成した快感も報酬である。
お金やもののために頑張るのといった動機は不純ことではなく、
決して恥じる必要はないことである。
動機が何であれ、人間の脳で起こる作用は同じなのである。
仕事に対して社会的意義などに現実感が持てないことも少なくない。
そんなとき、給料やボーナス、おいしい食事でやる気が出るなら、
それはとてもよいことである。
脳の報酬系は、不定期の報酬によって喜びを感じるという。
サルに学習をさせる実験において、
うまくできたら必ずエサを与えるのではなく、
エサを与える回数を半分にしてランダムに与えた方が、
はるかに成績がよいそうである。
意外性のある報酬に対して、ドーパミンはより多く分泌される。
報酬の確率は2分の1であっても、
逆に快感は3~4倍に高まるそうである。
そのしくみを応用するとしたら、
例えば、うまく仕事の成果が出たらサイコロを振って、
偶数が出たらおいしいレストランで食事する、
などの仕掛けを考えてみるのもいいかもしれない。