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間柄の文化を意識すれば組織は強くなる

欧米は「自己中心の文化」、日本は「間柄の文化」であるといわれる。

自己中心の文化では、

個人が自分の考えを主張して思うままに振る舞うことが良しとされる。

他人から影響を受けるのは、未熟な人間とみなされる。

間柄の文化においては、

相手の気持ちや立場に配慮した言動をとるべきだとされる。

自己主張ばかりしている人間は、身勝手で未熟な人間と評価される。

欧米文化と日本文化では、自己形成の方向性が正反対なのである。
したがって、モチベーションの源泉も日本人と欧米人では全く異なる。

ある調査によれば、

米国では、何かを成し遂げたいという達成欲求が高い人ほど、

他人と仲良くしたいという親和欲求が低い。

すなわち、他人を出し抜いたり蹴落としたりできる人が、

高いモチベーションで目標を達成できるということになる。

逆に、日本では、親和欲求が高い人ほど達成欲求が高い。

周囲と親しくしたいと思う人ほど、

高いモチベーションで仕事に取り組める。

これが間柄の文化を生きる日本人の心理的特性であるといえる。

間柄の文化では、人間関係が強い動機付け要因になる。

日米を比較した心理学の調査研究によると、

日本人が最もモチベーションを高めることができるのは、

「誰かのために」という動機づけがなされたとき、

という結果が出ている。

「自分にとって大切な人を喜ばせたい」
「悲しませたくない」

といった気持ちが、がんばる理由になるということである。

ビジネスシーンで考えると、

いつもお世話になってるリーダーに迷惑をかけたくない…

チームの足を引っ張りたくない…

という思いがモチベーションにつながるのである。

新入社員を対象とした意識調査では、

「職場に期待するものはなにか」という質問に対して、

「良好な人間関係」という回答が最も多い。

日本の「間柄の文化」の中では、

リーダーは、人間関係を重視した組織マネジメントをする必要がある。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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