メンバーに、報告書などの提出期限を守ってもらうためには、
ただ期限を決めるだけでなく、
具体的な日時を、メンバー自身に目の前で書いてもらうのがよい。
合意したことを相手の目の前で書くことで、
ただ聞いただけよりも責任感を感じ、約束を破りづらくなる。
約束を守るということは、一度決めたことを貫き通そうとする、
「一貫性の原理」に由来するものである。
アメリカのある病院で、
次回の予約時間を患者本人に書かせたところ、キャンセル率が激減した、
という報告がある。
自分で書いた期限を目につくところに貼り出すと、さらに効果的。
また期限は、大前提として提出可能な期限にすることが大切である。
行動経済学者のカーネマンとトベルスキーの研究によれば、
人はあるタスクにかかる時間を、実際よりも短く見積もる心理的傾向がある。
この傾向は「プランニング・ファラシー(planning fallacy、計画錯誤)と
呼ばれている。
学生時代の夏休みの宿題も
計画より前にできることはめずらしかったはず。
プランニング・ファラシーが起きるのは、
人はつい楽観的なシナリオを思い描いてしまうから、
と言われている。
このプランニング・ファラシーのワナを考慮しつつ、
期限を合意する必要がある。
メンバーの設定期限に疑問を感じたら、
すぐにアドバイスすることもリーダーの大切な役割である。