最近、働き方改革の一環として、
非正規社員→正社員化のニュースをよく見かけるようになった。
例えば、
資生堂では2018年より国内工場の非正規社員について、
本人が希望する場合には正社員にする方針を発表した。
これらの背景には、少子高齢化等による労働力不足がある。
政府は「働き方改革」を掲げ、
深刻化する労働力不足を何とか解消しようとしている。
「長時間労働」や「非正規と正社員の格差」を解決し、
労働生産性の向上を実現すべく、さまざまな政策を打ち出している。
しかし、残業を減らしたり、正社員と非正規社員の処遇を同じにするだけで、
本当に労働生産性の向上につながるのだろうか。
働き方改革を成功に導くためには「エンパワメント」が必須になる。
エンパワメントとは、「権限委譲」とも言われ、
組織が目指している目標を達成するために、
組織のメンバーが自律的に行動する力を与えるリーダーシップ技術である。
経営者やマネジャーは、業務の目標を明確に示すと共に、
仕事の進め方についてはメンバーの自主的な判断に任せる。
メンバーが上司の指示を待つことなく、
自分の頭で考えて、自律的に仕事をする環境を整える。
そうすることで、業務のスピードアップにつながるのである。
メンバーは、権限を与えられ、
自分で意思決定をしながら、業務を達成することが求められる。
これがメンバーのコミットメントの向上や、
自己決定を通じたモチベーションを高めることにつながる。
また、権限行使と意思決定のためには、正当な評価と報奨が必要となる。
非正規社員は、正社員化によって格差が是正され、
同じ土俵で評価と報奨を得られるという期待を持つ。
その期待は、より一層のコミットメントやモチベーションアップにつながり、
生産性向上に結びつくのである。
職場の働き方改革を推進するために、
エンパワメントという視点から着目することは、有効な方法である。