理想のリーダーとは、どのような人だろうか?
40代後半以上のビジネスパーソンに質問すると、
強くリードしてくれる人…
背中で示してくれる人…
なんでもできるスーパーマン…
とにかく勢いのある強いリーダー像が多く上がる。
ところが、同じ質問を20代~30代に向けると、
話をよく聞いてくれる人…
仕事のヒントをくれる教え上手な人…
自分の可能性を信じ、広げてくれる人…
と、異なった回答が聞かれる。
この差の背景には、以前と今との人口構造の違いがある。
今の40代後半以上が若手だった日本は、
労働力が豊富であり、
商品やサービスは早く安く大量に出せば確実に売れる、
経済が上り調子の「人口ボーナス」期である。
この時代は、一人で物事を決めて進めることができ、
時間制約もない人が「強いリーダー」として重用された。
しかし、今、人口構造は大きく変化した。
労働力は減り続け、
付加価値の高い商品やサービスでないと売れない、
工夫をしないままでいくとビジネスは停滞してしまう、
という「人口オーナス期」となった。
この時期では、
自分が稼ぐのではなくメンバーの個性を活かしてチームで成果を上げる、
というマネジメントが重要になる。
リーダー自身も親の介護などを理由に時間制約を持つことも増える。
自分が管理職としてすべて責任を持てばなんとかなる、
という時代ではない。
リーダーもメンバーも、
育児、介護、学びなどと仕事の両立を実現しないと組織が立ち行かなくなる。
リーダーが一人で仕事を抱え込むことが美徳とされる時代は終わり、
組織の力を最大化することがリーダーの仕事なのである。
そうはいっても、メンバーに頼るのは最初は抵抗感があるかもしれない。
まずは「自分が苦手なことを発信する」ことから始めてみてはどうだろうか。
メンバーから見ると、
「完璧だと思っていたリーダーにも、苦手なことがあったんだ!」
と驚くかもしれない。
でも、メンバーから
「私は得意なので、手伝いましょうか」
と言ってくれるかもしれない。
プレイヤーとして能力が高い人ほど、
「他人の助けを借りる」という発想ができない。
チームで成果を出すことは、個人で成果を出すこととは異なる。
1人ではできないことを成し遂げたいから、チームで仕事をするのである。
メンバーがリーダーを頼るのと同じくらい、
リーダーもメンバーを頼ってもよいのである。