習慣は日常の反復的な行動である。
それはたとえ小さな行動であっても、長い間積み重なることで、
あたかも生まれつき持ってきたかのような性向として固まってくる。
習慣は、自分自身にさほど大きな心的負担をかけないにもかかわらず、
結果的に生活・人生に強い影響を及ぼす。
習慣は、天性と努力の中間に位置する。
天性は先天的に受けるもので、もはや変えられないものであり、
自分が無意識のうちに生活や人生に作用している。
努力は後天的に「いま・ここ」から自分で意図的に変えていけるものである。
習慣はこれら両方の性質を持つ。
なかば天性のように自分に定着している性向、行動、態度、姿勢である。
そのため、知らず知らずのうちに人生に影響を与えることができる。
また習慣は、努力の一部、技術の一部なので、
意思を持って取り組めば、自分をそのように仕向けることができる。
すなわち、新しい第二の天性を後天的につくれる可能性がある。
「自分には特別な習慣はない」という人でも、実際には、
無意識のうちにお決まりの考え方、行動をしている部分がかなりある。
米国デューク大学の論文によれば、
毎日の人の行動の40パーセント以上が、その場の決定ではなく習慣だといわれる。
習慣は、内側の自分の心と外側の環境や運命とつながっているのである。
日米のプロ野球界で活躍した松井秀喜さんが、
星稜高校野球部時代に山下智茂監督から次のような言葉を教わり、
座右の銘として人生の指針にしている。
心が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
環境や運命は変えるには、とても大きな力が必要である。
でも「いま・ここ」での自分の心は、習慣を介して環境や運命とつながっている。
習慣は、あまり意識されない小さくて静かな行動だが、
人格を変えて、運命も変える偉大な力を発揮する行動なのである。