本番に強い人と弱い人の違いは、どこにあるのだろうか。
本番に強い人は、緊張することがあっても適切に対処する。
いつも通り、動じない状態でいることができる。
ときには、緊張によって潜在能力が引き出され、すごい力を発揮する。
本番に弱い人は、緊張に対処できずに緊張にのみ込まれてしまう。
「落ち着こう」と自分に言い聞かせながら、
ますます心臓がバクバクしてしまうという状態になってしまうのである。
たとえば、戦場の兵士と緊張の関係は象徴的である。
生死にかかわる緊張状態から来る精神疲労は「戦場ストレス」と呼ばれ、
イラクやアフガニスタンに派兵された米兵の2割が、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を起こしたといわれる。
兵士たちはみな訓練を受け、同じ状況にあったにもかかわらず、
PTSDになる人とそうでない人は、どのような違いがあったのだろうか。
その分かれ目は、ミッションに対する同意であるといわれる。
どの兵士にも「自分の国を守るために命をかける」というミッションがあるはず。
でも兵士たちからすれば、その必然性を納得できない状況もある。
「なぜ自分はここへ来て、この任務につく必要があるのか」と。
ミッションに納得できなければ、精神的な問題につながってしまう。
同じ緊張状態を経験しても、
それをポジティブなものにできるか、ネガティブなままで終わってしまうかは、
本人のとらえ方が大きく影響してくるのである。
一つひとつの仕事には、組織から個人に任されるミッションがある。
与えられたミッションに納得して取り組んでいるか、
言いかえれば、「自分の人生の目標」に一致しているかがとても大切である。
一致していれば、自分の人生を主体的に生きるようになる。
緊張を乗り超えることもできるし、
どんなときでも動じることなく、自信をもって力を発揮していけるようになる。
もし大事な場面で思った以上に緊張してしまっても、
そのときにふさわしい方法をチョイスして、動じない状態に戻ることもできる。
どんな大事な場面でも、
本来自分が持っている力を十二分に発揮できるようになるのである。