発明王トーマス・エジソンという人はとても前向きの人だった。
火事で工場の実験用施設が燃えてしまった。
でも、「これは、もっと良い施設に変えるチャンスだ」と考えた。
電球の試作に1万個失敗しても、
「うまくいかない方法を1万個見つけただけだ」と言った。
同じ体験をしたとき、
前向きであれば、「できる」と考える。
後向きなら、「できない」理由を考える。
結果が違ってくるのは明らかである。
でも、常に前向きに考えるというのはなかなか難しい。
経営コンサルタントの小宮一慶さんは、次のような若い頃の訓練を紹介している。
輪ゴムをいつも左手首に巻いておく。
イライラしたり、後ろ向きの感情が現れたりしたとき、
その輪ゴムを右手で引いて、パチンとやる。
その痛さで、ネガティブな感情を断ち切る。
後向きな気持ちの自分への戒めであり、精神的、時間的な区切りである。
輪ゴムを引こうとするときに、冷静になって客観的に自分を見ることができる。
その時点で気分の切り替えができたという。
人は、前向きのことと後向きのことを同時に考えることはできない。
だから、絶対に後向きに考えない、ということは難しい。
そうならば、後向きの感情が起こったときに、
それをいかに早く終わらせるかが大切だ。
前向きになるというのは、まず、起きていることを素直に受け入れることが大前提である。
起きたことや過去のことは変えられない。
それを批判的に考えずに、素直に受け入れる。
そうすれば、対処するための良い知恵も浮かんでくる。
批判的に考えていては、心も暗くなり、負のスパイラルに陥ってしまう。
自分にとって都合の悪いことを受け入れないということは、
周りの環境を非難しているのと同じ。
自分は悪くないのに、周りが悪いと考えてしまうと、
自分から何かをしよう、
自分のどこかを変えよう、
という気持ちにはなれない。
環境や周りの人が変わることを期待してしまう。
一方、起こったことや環境を受け入れると、
その環境の中で、自分は何ができるのかをできることを探すことになる。
そうすると、対応が前向きになり、新たな展開が始まる。
松下幸之助さんは、逆境と順境の心構えとして、次のように話している。
人生には、逆境と順境が配されている。
逆境も、順境もそれを素直に受け入れ、
逆境のときは卑屈にならず、
順境のときには、うぬぼれず謙虚に学ぶ心を持つことが大切である。
どんなときにも、素直でいることが大切。
起きたことは、まず受け入れ、
その環境の中で、自分ができることを前向きに考えたい。