パワハラ、ブラック企業、職場のメンタルヘルス、社員のストレスチェック…
こんなキーワードが社会的にクローズアップされるようになってから、
会社で、上司が部下を「腫れ物に触るように扱う」傾向が強くなっている。
当然、パワハラで、メンタルヘルスの問題などを引き起こすようなことはダメだ。
しかし、新人、若手に対しては、
間違っていること、できていないことを指導し、育てる必要がある。
そのために、叱ることは、大切である。
叱ることで失敗するパターンと失敗しないための対策を考えてみよう。
1.相手の人格を否定してしまう場合
「君は、仕事に取り組む意識が甘いんだ」
「お前からは、やる気が感じられない」
「そんな暗い顔をせずに、もっと明るくしろ」
特に、相手の性格的な短所、コンプレックスに触れるのは避ける。
叱る側は、悪意はなく、相手のためにアドバイスした…
でも、相手にとっては、心に突き刺さる痛みとなることもある。
叱るときには、
あなたに問題は無い、
しかし、あなたの行動は修正してもらう必要がある、
というメッセージを念頭において叱る。
人格を否定をしてしまうと、
叱った内容が伝わらないし、人間関係を大きく壊してしまう。
叱るときには、相手の行動に焦点を当てて叱ろう。
2.自分が炎上してしまう場合
最初は、部下に「注意しよう」と思っていた。
話しているうちに、自分が興奮して怒りになり、炎上してしまう。
「怒る」は、自分がスッキリするために相手に自分の感情をぶつけること。
「叱る」とは、相手のために理性的に指導することである。
「叱る」が、「怒る」に変わってしまうのは、
自分の発した言葉に自分自身が興奮してしまうからである。
私たちは、自分自身が発した言葉に大きく影響される。
重要性を伝えようとして、意図的に強い口調で叱る。
すると、いつの間にか、自分の口調に自分の感情が影響されてまう。
無意識に「叱る」から「怒る」に変わってしまう。
何のために叱るのかという目的を忘れず、
頭の中は冷静にして、叱ることを心がけよう。
3.他者と比較してしまう場合
40代の上司と20代の部下では、「競争意識」が大きく異なる。
1971年~74年まで第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代は、
同世代が170万~200万人超の中では競争が当たり前、
競争に勝つことの大切さを学んできた。
20歳代の世代は、週休2日制、総合的学習の時間、学習内容3割減、といった、
「ゆとり教育」の中で育った。
競争は、無いことが望ましい、と教えられてきた世代だ。
「となりの課のA君が、先月は表彰されていたぞ、
君はこんな成績で悔しくないのか!」
と、上司が叱咤激励したつもりでも、
「いや、別に何とも思わないです。自分は自分なので」
ということになる。
周りと比較されても発奮するわけでもない。
逆に、「自分は自分なのに、周りとの比較でしか見てくれない」
と嫌悪感を示す。
個人差はあるが、一般的には周囲との競争に勝つことよりも、
自分がなりたいと思う自分になるため、頑張る傾向が強い。
でも、ゆとり教育世代は、自分なりの目的意識を持つと、
粘り強く、高い成長意欲を示すという特徴もある。
叱る時にも、
「君は、来年には一人前になって、後輩を指導できるようになりたいと言っていたよね。今月の売り上げをもう少し伸ばすために、あと何をすればいいだろう?」
と本人がなりたい姿を共有しながら、自発的に考えられるように指導する。
あなたが目指す未来に向けて現状はどうだろう、
と相手の興味にそって指導する。
この3つのパターンに陥らないことを意識し、対策を実践することで、
「叱る」効果がアップするはずだ。