トリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長の吉越浩一郎さんは、
「早朝会議」「がんばるタイム」など、斬新な仕組みを取り入れて、
社員の働き方を見直しをした。
その中でも、
仕事はすべて、「デッドライン(締め切り)」を徹底する、
という考え方がある。
日本人は、「滅私奉公」という考え方を
間違った形で具現化している場合が多い。
労働時間を長くすることは、会社への貢献ではない。
効率性を後回しにして、延々と働いてしまっている人が少なくない。
こうした状況から抜け出すために、デッドラインという考え方が有効である。
仕事をいつまでに誰が何をやるかを明確に決める。
小さな仕事でもすべて、「締め切り」を設定する。
そうすることで、無駄が排除され、仕事のスピードが向上する。
個人の仕事の効率を上げるという効果だけではない。
組織としての生産性向上にもつながる。
誰がどのような仕事に取り組んでいるのかが、組織の中で共有できる。
そうすれば、管理職も部下も、自分やまわりの仕事に対して、
同じ認識を持つことができる。
吉越 浩一郎さんの社長時代のトリンプでは、
朝8時30分から「早朝会議」を開いていた。
特別な事情がない限り、毎朝、この会議が実施される。
幹部が全員そろう。
この会議で、吉越さんが進行役となり、各部署のデッドラインを確認する。
「毎日開く」ということが重要なポイント。
最短のデッドラインを設定できるからである。
週に1度の会議では、デッドラインが次回の会議までとなりかねない。
そうなると、組織としての意思決定スピードが落ちてしまう。
だから、毎朝、会議を開く。
すべての仕事にデッドラインを決めることは、有効である。
決まった時間のなかで、いかに効率よくやるかを考えるようになる。
時間を無駄にしないために、素早く判断したり決断する力が鍛えられる。
迷っていたら、どんどん時間がなくなってしまう。
その結果、
スケジュールを守ることができ、無駄が排除される。
また、人の能力も向上し、人の成長につながるのだ。