創造的な仕事において、リーダーの役割は、メンバーの頭が活発に働く環境を整え、やる気を引き出すことである。
「3Mで学んだニューロマネジメント」の著者、大久保高俊氏は、
脳科学を活用したイノベーション創出のマネジメントを説いている。
皆さんは、
論理的には正しいと思うが納得できない…
と思ったことはないだろうか。
いわゆる腹落ちしないという感覚である。
リーダーは、メンバーが腹落ちした状態で仕事ができるように、
環境を整えておく必要がある。
そのためには、メンバーの心理を、
「~しなければならない(Must)」から「~したい(Want)」
という状態に変えることがポイントである。
「Must」は、
論理的に導き出された結論であり、強制力を伴うので、
ストレスや不安を感じる。
「Want」は、
ストレスから解放された心理状態である。
脳科学によれば、
心理状態を「Must」から「Want」にかえることで、
ストレスから解放されてアイデアが生まれやすい。
そのために有効なのが「SSR マネジメント」である。
「SSR マネジメント」とは、3つのステップを繰り返すことで、
メンバーのやる気を高めながら、能力向上を図っていくことである。
1.Stretch:背伸びした目標の設定
新しいことに挑戦するためには、
「人間は満たされている状況のときには変化を好まない」
という本質と戦わなければならない。
メンバーの心を安定している状態から、
「今の状態が続くことはない」と気づかせなければならない。
そのためには、
工夫なしでは達成できない高い目標を示すことである。
人間は、安定した状態から不安定な状態になると、
不安になって、臨戦状態にはいる。
緊張感が高まり、注意力も増してくるのである。
2.Support:精神面を含めた支援
不安な状態が長く続くと、人間は不調をきたす。
不安の状態を安心の状態に変えるために、
リーダーは、メンバーのために「心の安全地帯」を用意する。
すなわち、リーダーは、
メンバーのチャレンジを応援していることを行動と言葉で伝える。
そうすることで、
リーダーの本気度をメンバーに理解してもらうのである。
3.Reward:正当な評価と報酬
メンバーの心理状態を「安心」から「自信」に変える。
メンバーの成果に対して、正当に評価し昇進や昇給で処遇する。
このようにして、メンバーの中に、
Stretchに挑戦することを楽しめる「自信」つくることができる。
イノベーションに挑戦するモチベーションを引き出すために、
脳科学を活用したSSRマネジメントは有効な方法である。