この十数年、ビジネスシーンでは、
「人はほめて伸ばす」
という考え方が定着してきた。
会社では、上司は部下をなるべくほめること、が求められる。
ほめることばかりに力をいれて、叱らないようにしていると、
だんだん叱ることが不得意になってしまっている。
学校では、子供たちは、ほめられて育つ。
叱られることがないまま社会人になるため、叱られ慣れていない。
そうすると、会社には、
叱り慣れていない上司と叱られ慣れていない部下ばかりと
なってしまっているのである。
加えて、近年、パワハラに対する意識が高くなり、
上司は、ますます叱りづらくなる、という悪循環となっている。
叱ることにネガティブなイメージを持ってる人も多い。
せっかく叱っても主旨が伝わらないと、
パワハラだと非難されてしまうからである。
人間関係を壊したくない…
厳しく言うと、会社をやめてしまうのでは…
叱ることで相手に嫌われてしまう…
などと考える人も多い。
若いときの自分自身を振り返ってみると、
学生時代、会社生活を通じて、叱られてきた経験がたくさんある。
叱られたときには、腹を立てたり、反発したことが少なくない。
でも、叱られることで、気付きがあったり成長することができたと思う。
叱ることで、嫌われたり、人間関係悪くなるという誤解を外して、
叱る、目的をフラットに考える必要がある。
叱ることの主な目的は、相手へのリクエストであり、
その上で、自分の気持ちを伝えることである。
そして、「叱る」ということは技術であることを理解する必要がある。
スポーツや楽器などと同じように、練習しただけ上達する。
だから、叱らないと、練習ができないので、どんどん苦手になっていく。
そうすると、叱ることに対して苦手意識を持ってしまう。
叱ることが不得意なのは、上司としての資質や能力がないわけではない。
不得意なのは単純に、叱る練習不足なのである。