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「叱る」は練習することで身につく技術

この十数年、ビジネスシーンでは、
「人はほめて伸ばす」
という考え方が定着してきた。
会社では、上司は部下をなるべくほめること、が求められる。

ほめることばかりに力をいれて、叱らないようにしていると、

だんだん叱ることが不得意になってしまっている。

学校では、子供たちは、ほめられて育つ。

叱られることがないまま社会人になるため、叱られ慣れていない。

そうすると、会社には、

叱り慣れていない上司と叱られ慣れていない部下ばかりと
なってしまっているのである。

加えて、近年、パワハラに対する意識が高くなり、
上司は、ますます叱りづらくなる、という悪循環となっている。

叱ることにネガティブなイメージを持ってる人も多い。
せっかく叱っても主旨が伝わらないと、

パワハラだと非難されてしまうからである。

人間関係を壊したくない…
厳しく言うと、会社をやめてしまうのでは…
叱ることで相手に嫌われてしまう…

などと考える人も多い。

若いときの自分自身を振り返ってみると、

学生時代、会社生活を通じて、叱られてきた経験がたくさんある。

叱られたときには、腹を立てたり、反発したことが少なくない。
でも、叱られることで、気付きがあったり成長することができたと思う。

叱ることで、嫌われたり、人間関係悪くなるという誤解を外して、
叱る、目的をフラットに考える必要がある。

叱ることの主な目的は、相手へのリクエストであり、
その上で、自分の気持ちを伝えることである。

そして、「叱る」ということは技術であることを理解する必要がある。
スポーツや楽器などと同じように、練習しただけ上達する。

だから、叱らないと、練習ができないので、どんどん苦手になっていく。
そうすると、叱ることに対して苦手意識を持ってしまう。

叱ることが不得意なのは、上司としての資質や能力がないわけではない。
不得意なのは単純に、叱る練習不足なのである。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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