ドア・イン・ザ・フェイスとは、譲歩的依頼法とも呼ばれており、
本命の要求を通すために、まず過大な要求を提示して、
相手に断られたら小さな(本命の)要求を出す方法です。
「返報性の原理」を応用して、譲歩を利用して相手と交渉します。
返報性の原理とは、何かをしてもらったら何かをしたくなるという心理。
相手が譲歩してくれたら、こちらも譲歩しなければ相手に悪い、
と思わせて、最終的なこちらの希望を承諾してもらうテクニックです。
例えば、
10万円のオプションの受注を取りたいという目的がある場合を見てみましょう。
営業:「すべてのオプションをつけますと20万円になります」
お客様:「費用対効果が見えないので、いきなり全部導入するのは難しいな」
営業:「では、最低限必要な10万円のプランではいかがでしょうか?」
最初から10万円のオプションプラン採用は難しくても、
まず20万円の提案を断ってもらうことで、
そこから大幅に値引かれた印象になり、相手も納得しやすくなります。
ドア・イン・ザ・フェイスには、
「交渉した結果、自分に有利な結果にすることができた」
と、相手に満足感を味わってもらえるメリットがあります。
実際の交渉で使うときには、下記の点に注意しましょう。
1.最初の要求は高くしすぎない
最初にあまり無茶な要求を提示してしまうと、
相手に不快感を与えてしまい、その後の交渉に進めないかもしれません。
また、最初の要求は断ってもらわなければならないので、
あまり低くても、想定通りに交渉を進められなくなります。
高すぎず低すぎず、断ることで相手が借りを感じる要求にすることです。
2.次の要求まで間を開けない
相手が借りを感じている間に交渉を進める必要があります。
「次も断ったら申し訳ない」
と思ってもらえている間に、はじめより低く設定した要求を提示します。
3.同じ相手に何度も使わない
交渉がうまくいくからといって、
同じ相手に多用していては、相手に気付かれてしまい、
本来の目的も通らなくなってしまいます。
ドア・イン・ザ・フェイスを利用して交渉を進めることで、
自分に有利な状況を作り上げることができます。
相手との関係性や交渉頻度を踏まえて、効果的と思われる場面で活用しましょう。