「この目標は、会社の決定事項だ、つべこべ言わずやればいいんだ」
「皆、この目標でやっているんだ、何か文句があるのか」
上司が部下のモチベーションを下げてしまう言葉だ。
でも、現実には、このようなフレーズを使っている上司が実に多い。
「つべこべ言わずにやればいいんだ」と断定するフレーズは、
決定に背いたらどうなるか分かっているな、という脅しのフレーズだ。
「皆、この目標でやっているんだ」という言葉は、
事実を親切に言っているつもりでも、脅しのマネジメントになっている。
「できないならば、そのように評価するしかない」
と、言っているのと同じだ。
評価権は上司の特権であり、上司の評価権で脅していることに他ならない。
脅しのマネジメントでは、部下のモチベーションは上がらない。
断定や命令と逆のコミュニケーションの1つに、示唆質問がある。
示唆質問とは、上司が部下に対して、
「私がサポートすれば、この目標に取り組んでみようという気持ちになる?」
「実施時期を分けて、目標を細分化したらやりやすいかな?」
というように、仮の条件や前提を示し、
その条件であれば、取り組んでみようと思うかどうか、
を質問する方法である。
この質問は、断定や命令ではなく、
ある仮定を示して、方向性を示していく質問スキルである。
示唆質問を使うことによって、部下は、
「課長がサポートしてくれるんだったら、目標達成に向けてがんばれるかも」
「この前提であれば、引っかかるところがないので取り組んでみよう」
という気持ちになりやすい。
示唆質問は、モチベーションを下げることなく、
目標へのコミットメントに導くスキルである。
示唆質問は、1対1だけでなく、多数の人が参加する会議で
合意形成する場面でも効果がある。
示唆質問を効果的に使って、部下が目標にうまくコミットメントできるような
コミュニケーションスキルを使ってみよう。