日本の会社では、いきなり会議で意見をぶつけ合うことは、まだまだ少ない。
事前に根回しをして、適当なところで落としどころを見つけてしまう。
根回しは、重要な問題をはらんでいる。
決めた解決策が適切だったのかどうか?
第三者の冷静な目で判断されるのではなく、
利害の対立するセクションだけで、判断されてしまうからである。
本当は、会社にとってより良い別の解決策があったとしても、
根回しのすんだ議題は、ただ報告がなされるだけで終わってしまう。
例えば、
営業部は、売るために商品の在庫を増やしたい。
製造部は、経費のかかる在庫を増やしたくない。
どちらの言い分も正しい。
それぞれの部門においては、正しいことを主張している。
営業部と製造部で、それぞれが正しいと考える行動を取ったとき、
どんな問題が出てくるのか、
という肝心な点について、議論されない場合が多い。
こういうところに、会社の大きな課題が潜んでいる可能性がある。
根回しの問題点は、会社の真の問題点を隠してしまうことである。
自分たちが、「やりたくないこと」というのは、
何か問題が、潜んでいることが多い。
その課題を見出すロジック、解決するプロセスこそが、
会議に参加する人にとって、最もためになることのはずである。
根回しがなければ、決定に時間がかかってしまうかもしれない。
そのリスクを避けるために、社内で根回しが常態化する。
すると、真の問題が顕在化されない。
本来、会議の目的は、
「課題を顕在化し、最適な解決策を発見して実行し、再発防止につなげる」
ことである。
会議は、根回しした結果を確認する場ではなく、
真の課題を見極め、解決の方向を決めて前に進む場、とすべきである。