オフサイトミーティングとは、「気楽にまじめな話をする場」である。
この場には、「これが答えだ」というのはない。
最初からわかっている結果に導こうとするものでもない。
オフサイトミーティングの場は、考えるきっかけをつくることが目的である。
互いに刺激し、知恵を引き出し合う場であり、頭の使い方を鍛える場でもある。
オフサイトミーティングとは、本来、欧米の組織開発分野で用いられていた言葉で、
「場所を離れる」という言葉通り、場所を変えて会議を行うことである。
最近では、必ずしも場所を変えることにこだわらず、
日ごろの当たり前や立場を離れて考えることに、重きが置かれている。
オフサイトミーティングで効果を出すためには5つのコツある。
1.気楽さ、安心感を演出する
初めてオフサイトミーティングを行うときは、社外で開催する方がよい。
社内のいつもの会議室では、いつもの業務遂行モードから離れられない。
移動することで、非日常感を演出するのが効果的である。
遠くに行けない場合は、ホテルの会議室などがよい。
社外に出ることが難しければ、いつもと違う場所、
たとえば、食堂、他部門の会議室などを使ってみよう。
2.ファシリテーターを配置する
ファシリテーターの立ち居振る舞いによって、場の雰囲気は大きく変わる。
オフサイトミーティングの中身は、参加者が共同でつくっていくもの。
ファシリテーターは、場を仕切るのではなく、
聴く姿勢を大切にして、中立の立場、参加者として振る舞う。
そうすることで、参加者が構えることなく、自然に話ができるようになる。
3.話し合い方のルールの導入する
オフサイトミーティングでは、個人の思いを深く知って多様な意見を出し合う。
話し合いの規範をつくるために、
ミーティングの冒頭で「グランドルール」を示し、参加者全員で合意する。
例えば、
✓相手に関心をもって話をじっくり聴く
✓相手の意見を否定しない
✓率直に自分の言葉で伝える
✓肩書や立場をいったん外してみる
✓伝えることをあきらめない
参加者は、このルールによって、通常の会議とは違うということを認識できる。
4.自己紹介からはじめる
最初のミーティングでは、ちょっと深い自己紹介をする。
お互いを知るために、自分のことを語って聴き合う。
参加者相互の人となりや生き方にふれることで、
心理的な距離が縮まり、人の話に耳を傾けやすくなる。
自分が思っていることも、口に出して伝えやすくなる。
5.初めと終わりに全員がひと言ずつ話す
ミーティングの冒頭に、参加者全員にひと言ずつ話してもらう。
そうすることで、参加者同士の気持ちがつながり、集中力が高まる。
ミーティングの終了時も、一人ひと言で締めくくる。
このミーティングからどんな気づきを得たか…
それぞれが今、思うことを自分の言葉で話して、皆が耳を傾ける。
その気づきが、次のアイデアや行動につながる。
社内の今の会議の質や生産性に疑問を感じたら、
オフサイトミーティングを取り入れるのも有効な手段である。
責任者プロフィール
中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。