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提供する価値を考える

ケーキ屋さんのケーキの値段は、スーパーやコンビニの菓子パンに比べて、
販売価格は、数倍以上高い。

菓子パンとケーキの材料は、小麦、卵、牛乳などで、ほぼ同じである。

ただ、ケーキの方には、
パティシエが作ったり、高級な材料が使われていたり、
トッピングがあるので、その分原材料費は高いはず。

原価は、数倍以上の差はないはずである。

でも、私たちは、ケーキと菓子パンの販売価格の差を疑わない。

販売価格の差が認知されるベースにあるのは、

菓子パンは日常の食べ物、
ケーキは非日常の食べ物、

ということである。

自分が毎日食べるために買うような物には、高い値段は払いたくない。
だから、菓子パンは100円程度になってしまう。

でも、ケーキは、非日常の食べ物である。

誕生日のお祝いに・・・
特別な記念日のために・・・
手土産として・・・

必要な人は、高くても買う。
逆に、ある程度高くないと意味がなくなってしまう場合もある。

このケーキと菓子パンの例から言えることは、

同じ材料で作られた商品であっても、
売る対象を変えたり、売り方を変えることで、「提供する価値」を高められる、

ということである。

家電業界では、

技術があれば勝てる、
よいものを作れば売れる、

という時代ではないことは、既に当たり前となった。

自動車の場合はどうだろうか?

自動車業界にかかわる人たちは、

自動車は、人の命を預かる耐久消費財だ、
自動車は、家電と違う、

と考えている人が多いのではないだろうか。

でも、これから求められる「自動運転」や「人工知能」といった分野になると、
マーケティングの視点がないと勝つことは難しい。

技術は、当然大切ではあるが、
「提供する価値」が、勝敗を決めることになる。

「おいしい菓子パン」よりも「ふつうのケーキ」の方が、
高く売れる世界があることを理解して、対応することが重要である。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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