ケーキ屋さんのケーキの値段は、スーパーやコンビニの菓子パンに比べて、
販売価格は、数倍以上高い。
菓子パンとケーキの材料は、小麦、卵、牛乳などで、ほぼ同じである。
ただ、ケーキの方には、
パティシエが作ったり、高級な材料が使われていたり、
トッピングがあるので、その分原材料費は高いはず。
原価は、数倍以上の差はないはずである。
でも、私たちは、ケーキと菓子パンの販売価格の差を疑わない。
販売価格の差が認知されるベースにあるのは、
菓子パンは日常の食べ物、
ケーキは非日常の食べ物、
ということである。
自分が毎日食べるために買うような物には、高い値段は払いたくない。
だから、菓子パンは100円程度になってしまう。
でも、ケーキは、非日常の食べ物である。
誕生日のお祝いに・・・
特別な記念日のために・・・
手土産として・・・
必要な人は、高くても買う。
逆に、ある程度高くないと意味がなくなってしまう場合もある。
このケーキと菓子パンの例から言えることは、
同じ材料で作られた商品であっても、
売る対象を変えたり、売り方を変えることで、「提供する価値」を高められる、
ということである。
家電業界では、
技術があれば勝てる、
よいものを作れば売れる、
という時代ではないことは、既に当たり前となった。
自動車の場合はどうだろうか?
自動車業界にかかわる人たちは、
自動車は、人の命を預かる耐久消費財だ、
自動車は、家電と違う、
と考えている人が多いのではないだろうか。
でも、これから求められる「自動運転」や「人工知能」といった分野になると、
マーケティングの視点がないと勝つことは難しい。
技術は、当然大切ではあるが、
「提供する価値」が、勝敗を決めることになる。
「おいしい菓子パン」よりも「ふつうのケーキ」の方が、
高く売れる世界があることを理解して、対応することが重要である。