部下育成とは、 管理者自身がすべて教え込むことではない。
メンバーにすべてを教えようと思っても、それは不可能である。
メンバーが育つための環境を整えることが、管理者の重要な役割である。
中国語が話せる人材が必要になったなら、
語学の得意なメンバーに、中国語を学べる機会を与える。
新しいコンピュータ管理システムを導入するなら、
パソコンが得意なメンバーを責任者に指名し、習得させたほうがよい。
自分より、はるかにコンピュータシステムに詳しいメンバーはいるはずだ。
各部門が行う業務に大きな変化がなかった時代の管理者とは、
部門のことは何でも知っていてすべてのことができる人であった。
日進月歩で進むIT化やグローバル化の中では、
ビジネス環境は目まぐるしく変化している。
過去の手法は、まったく通用しないばかりか、
今日覚えた情報やスキルやあっという間に陳腐化する時代である。
それらをすべて把握して、活用できるスーパーマンはいない。
管理者の役割も変わらざるを得ない。
このような変化の激しい時代、管理者にとっての人材育成とは、
メンバーの資質をしっかりと把握した上で、
その人が育つための環境をつくることである。
そのためにも、日頃から、
各メンバーの資質を十分把握しておく必要がある。