GEのCEO ジェフ・イメルト氏は、企業文化を変える要素として、
ハード:ビジネスの仕組みや手法、
ソフト:考え方や価値観、
が重要であると指摘している。
GEは、ハード面で「ファストワークス」という経営手法を取り入れた。
ファストワークスとは、
巨大企業のGEが、シリコンバレーで躍進するITベンチャーのリーン・スタートアップに学び、これまでの商品開発を改革しようという活動である。
小さく早くスタートしながら、
調整して、どんどんアップグレードしていく考え方である。
これまでGEは、スーパー・プレミアム・テクノロジーという概念が強かった。
徹底的に分析をして、時間をかけて完璧なものをつくり上げる。
そして、市場に出す。
しかし、環境変化のスピードが格段に早くなっているなかで、
時間をかけて、商品を出したころには、顧客のニーズが変わっており、
顧客の価値とかみ合わないものになってしまう。
これまでの開発スピードのままでは、
競合や顧客の変化に、迅速に対応できない恐れが生じてきたのだ。
そうした失敗やそれによって生じるヒト、資金、時間の無駄をなるべく避けて、
顧客が望む商品をスピーディーに市場に投入することが、
GEが、ファストワークスを取り入れた目的である。
ファストワークスでは、
顧客が求める最小限の機能をもったプロトタイプを作り、
顧客のフィードバックを得ながら開発するのである。
ファストワークスをやることで、小さなリスクをとりやすくなる。
たとえば、
産業用のガソリンエンジンの新製品開発においては、
通常は、5年かけて開発していた。
それを、用途を限定することで、わずか約90日間で商品化したという。
GEのファストワークス・プロジェクトは、
航空機エンジン、医療機器、発電機器など、すべての分野に広がっている。
ともすれば、社員は社内の調整や根回しにばかり気を取られ、
視線は顧客のいる外側ではなく、内側に向いてしまいがちである。
メーカー的発想に固執していては、仕事のスピードが落ちてしまう。
大企業病になりがちなGEのような巨大企業が、
シリコンバレーから学ぶ謙虚さを持っている、
ことこそ、私たちはよく見習う必要がある。