少し前まで、トヨタ自動車は、自動運転と距離を置いていた。
その姿勢は、
パラリンピックをきっかけに変化している。
トヨタは、2020年頃には、
自動車専用道路での自動運転車の実用化を目指し、
一般道に対応できる自動運転車も開発していく、
と発表した。
豊田章男社長が、パラリンピックに携わり、選手らの話を聞くことで、
自動運転の見方が変わったという。
「私たちもかっこいいスポーツカーに乗りたい」
障害のある方が本当に求めているのは、
まさに、トヨタがスローガンに掲げる「ファンツードライブ」そのものだった。
障害のある人たちにも、ファンツードライブを提供する手段こそ自動運転。
さらに、米シリコンバレーに設立した人工知能研究拠点である、
トヨタ・リサーチ・インスティテュートのギル・プラットCEOは、
「障害者や高齢者を含めた、すべての人のためのモビリティー」
がトヨタのテーマだと強調している。
自動運転は、目的と手段が入れ替わってしまっている開発も多いように思える。
そんな中で、このような考え方は、目的指向であり、すばらしい。
何のために自動運転を実現するのか、
が、一番重要である。
それを持っていないと、
「自動運転を開発すること」が目的になってしまい、迷走してしまう。
自動運転だけではなく、
どのような技術開発、製品開発においても、
その開発そのものは、目的ではなく手段であることを、
常に認識する必要がある。
開発は手段であり、「何のために」という目的が一番大切である。