今年、箱根駅伝2連覇を達成した、
青山学院大学陸上部 原晋監督の講演の一部をご紹介する。
28年もの間、箱根駅伝の出場を果たせなかった青山学院大学陸上競技部。
2004年に原晋監督が就任して以来、
5年目で予選会を突破、
11年目で初優勝を果たし、
今年、2連覇を達成した。
原監督が就任当時、青山学院大学は、
28年間箱根駅伝には縁がなかった弱小チーム。
原さんは、監督就任前、優勝に向けた10年計画を大学に提出した。
「5年間で意識改革を行い、5年目で箱根駅伝のシード校となり、10年目に優勝」
そんなチームの再建は、基礎固めからスタートした。
チームの基礎をつくるために、
まず学生たちに、次の3つの行動指針を熱く語りかけた。
1、感動を人からもらうのではなく、感動を与えることのできる人間になろう。
2、今日のことは今日やろう。明日はまた明日やるべきことがある。
3、人間の能力に大きな差はない。あるとすれば熱意の差だ。
あらゆる場で、周知徹底した。
そして、10年計画で、強いチームづくりに着手した。
強いチームとは、トップ(監督)にかかわらず勝ち続けるチームである。
そのために、
メンバーやチームの成長に合わせて、
トップの指導スキルやスタンスを変化させてきた。
【1~4年目】トップからメンバーへのティーチング中心。
新入部員には、「核」となる部分を徹底して教えることが大切である。
長距離走の核となるのは、規則正しい生活。
睡眠不足や不規則な食生活では、パフォーマンスを発揮できない。
チームづくりの最初の段階では、上位下達の指示によって、
チーム全体は、ある程度の成長はできる。
【4~8年目】トップと各リーダーの関係が生まれて少しづつ組織化。
キャプテン、副キャプテンを任命し、
各責任者が部員をまとめる責任体制を明確にした時期。
リーダーには自覚や考える力が生まれる。
しかし、トップの方針が必ずしも全員に伝わらない。横のつながりが希薄になる、といったデメリットも出たという。
【8~12年目】トップがリーダーにキーワードを与えるコーチング。
チームの哲学が定着し、監督からキーワードを投げかけるコーチング要素の強い時期。
部員たちは、縦横の関係を築き、考えるようになった時期でもある。
監督は、「人としてどうあるべきか」というチームの哲学を伝え、
改めて、原点回帰をしなければならない。
行動指針は、常に口酸っぱく言い続けた。
哲学は、言い続けるほど貯金に変わるという。
青山学院大学の箱根駅伝優勝は、奇跡ではない。
会社の組織づくりと共通する組織強化のノウハウが
チーム強化に十分生かされてきていると感じた。