日本企業では、トップ層が方針や計画を作り、
現場がそれを実行したかを管理する「計画による管理」、
が重視されている。
しかし、最近の想定できない変化が起こる環境においては、
計画によって、すべてを管理するのではなく、
もっと柔軟に、環境に対応できる新たな枠組みが必要になってくる。
米空軍のジョン・ボイド大佐は、湾岸戦争での米軍の戦い方を参考に、
事前の戦術にとらわれず、相手の動きをよく観察して臨機応変に戦う
「OODA(ウーダ)」という意思決定プロセスを発表した。
これは、戦闘機のパイロットが頭の中で繰り返す思考回路を、
「観察→方向付け→決心→実行」の流れとして表現したものである。
OODAループは、次のようになる。
1、Observe(観察):相手の動きを観察して把握する。
2、Orient(方向付け):どう行動すべきかを時に判断する。
3、Decide(決心):自らの判断で決断を下す。
4、Act(実行):決心した行動を実行に移す。
相手が想定外の動きをとった場合は、再び「観察」から始める。
いまや企業に定着している「PDCA」は、
環境を分析して計画を立て、
実行する、
その結果をチェックし、
次の計画に向けて行動、
という流れになる。
「OODA」が、「PDCA」と大きく異なる点は、
計画通りに物事を進めるより、臨機応変に対応することを重点をおく、
計画をたててから動くのではなく、相手をよく観察して動きながら考える、
トップダウンではなく現場に主導権を与え、現場が自ら判断して行動する、
という点である。
たとえば、接客でいえば以下の通り。
標準的な接客を定め、それをマニュアル化して接客するのが「PDCA」。
顧客の様子をしっかり観察し、その顧客にふさわしいサービスで、
臨機応変に対応するのが、「OODA」での接客である。
言葉づかいから、オーダーの取り方まで、すべてマニュアルで定めてしまうと、
機械的な反応となりがちである。
PDCAマニュアル行動に頼る店員は、
お客に対する観察眼や反射神経を無くしてしまう。
GEが最近、経営のスピードアップを目指す「ファスト・ワークス」を始めた。
事前の設計、研究開発に時間をかけない…
早い段階で、実用最小限の製品を市場に出す…
顧客の反応を観察し、それによって軌道修正する…
ファスト・ワークスは、まさに、
従来の「計画中心・自分中心・トップダウン中心」から、
OODAの「臨機応変・相手中心・現場中心」への転換である。
いままさに、OODAの核となる「顧客に学び、個人が動く」組織が、
必要な時代になってきている。